【医薬品等適正広告基準の改正】美容・健康事業者が知るべき最新の薬事広告情報

 美容・健康事業者が広告を制作するときに、守る必要がある薬機法とその解釈基準である医薬品等適正広告基準が改正されました。今回の改正では大幅な変更はありませんが、今後の取締りの基準として参考になるべきポイントがいくつもあります。
 以下、医薬品等適正広告基準の改正のポイントと共に、美容・健康事業者が知っておくべき最新の薬事広告情報を説明していきます。

1 医薬品等適正広告基準の改正

 平成29年9月に医薬品等適正広告基準が改正されました。
 この「医薬品等適正広告基準」とは、法律ではないものの、薬機法の解釈基準として法律とほぼ同じ効果を持つ重要な基準です。美容業界でいうと、化粧品が直接の対象となっており、健康食品やエステ等は、直接効果が及ぶものではありません。
 
ただ、ビフォーアフターなどの保証表現の禁止範囲など、十分参考にすべき基準ですので、美容・健康業界の事業者様には是非とも知っておいてもらいたい基準になります。

2 改正内容

  医薬品等適正広告基準は、化粧品だけでなく一般医薬品も対象としていますので、今回の改正で美容・健康業界の皆様に必要な改正箇所だけピックアップしてみました。

2-1 ビフォーアフター(使用前後の比較)

 以前の記事【効果効能を比較するビフォーアフター写真・イラストの使用は認められる? 】でも説明したとおり、これまではビフォーアフターの図面・写真は原則禁止とされていました。ただ、変更された基準によれば、

使用前、後に関わらず図面、写真等による表現については、承認等外の効能効果等を想起させるもの、効果発現までの時間及び効果持続時間の保証となるもの又は安全性の保証表現となるものは認められない。

とされています。
 この改正の趣旨としては、ビフォーアフターの写真は、消費者に効能効果について誤解を与えやすいので禁止すべきだが、その反面、消費者に対する情報提供の側面もあるので、その部分に限っては認めるということを明確にしたものと考えられます。

 つまり、基準の表現自体は変わりましたが、実際に広告可能な表現範囲はそこまで変化が無いと思われます。

 ビフォーアフターは、効能効果や、安全性が保証された表現となるものはこれまでとおり、NGですが、
例外として、

  1. ⅰ 使用方法の説明として表現する場合
  2. ⅱ メーキャップ効果等の物理的効果
  3. ⅲ 使用感を表現する場合

は、OKとなります。

2-2 使用体験談について

 使用体験談については、次のような表現になりました。

    (5)使用体験談等について
    愛用者の感謝状、感謝の言葉等の例示及び「私も使っています。」等使用経験又は体験談的広告は、客観的裏付けとはなりえず、かえって消費者に対し効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがあるため以下の場合を除き行ってはならない。
    なお、いずれの場合も過度な表現や保証的な表現とならないよう注意すること。

  1. ①目薬、外皮用剤及び化粧品等の広告で使用感を説明する場合
    ただし、使用感のみを特に強調する広告は、消費者に当該製品の使用目的を誤らせるおそれがあるため行わないこと。
  2. ②タレントが単に製品の説明や呈示を行う場合

 今回の改正で追加されたのは、「使用感のみを特に強調する広告は、消費者に当該製品の使用目的を誤らせるおそれがあるため行わないこと」の部分です。
 以前の記事【使用体験談を適法に表示するための3つのポイント】でも記載したように、体験談において使用感を記載することは認められていました。ただ、使用感でもことさらに強調するような広告は、今回の改正基準からしてもNGとなるので注意が必要です。

2-3 新発売の表記

 新発売としてはこれまで「6ヶ月」でしたが「12ヶ月」に延長されました。

3 まとめ

 以上を見てきたように、今回の医薬品等適正広告基準の改正では、化粧品においては、効能効果を誤認させる内容であったり、科学的に根拠の乏しい広告を不適切な広告とすることが明確になりました。
 これまでも、薬機法を守られている美容・健康業界の皆様にはそこまで大幅な変更は無いと思いますが、今後も効能効果を保証する表現については厳しく取り締まられることは大きな流れとなっています。
 今、美容整形等に関して、広告規制を厳しくしようという動きがあります。化粧品、健康食品やエステ等には直接関連しないものの、基準として大きな影響も受けますので要注意です。
 今後も最新動向は、このサイトでも追い続けていき、美容業界への皆様へお伝えしていきます。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士茨木 拓矢
美容事業を経営されている事業者様は、薬機法(旧薬事法)や景品表示法規制など経営に絡んだ多くの法的課題を抱えています。これらの問題に対して、経営者目線でお客様とのチームワークを構築しながら、法的問題点を抽出し、最善の解決策を共に見つけ、ご提示致します。

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