使用体験談を適法に表示するための3つのポイント~【薬事広告対策】化粧品編⑦~
化粧品広告で多く取り入れられている広告手法として、使用者の体験談があります。使用者の体験談は、消費者に商品を使用してもらったときのイメージしてもらう重要な手法であり、消費者への訴求力が高いのも特徴です。ただ、ついつい過剰な表現になりやすい部分でもあり、その分、行政による監視がなされ違反摘発事例もよく見受けられるところです。
今回は、使用体験談の表記について解説していきます。
【目次】
1 薬機法の規制
まず、化粧品の広告を作るうえで一番注意しなければならない薬機法の解釈基準である医薬品等適正広告基準からみていきます。
1-1 医薬品等適正広告基準の定め
体験談については、次の通り規制されています。
医薬品等の効能効果又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現はしないものとする。
また、東京都の福祉保健局が出している医薬品等適正広告基準の解説では、体験談について次のような記載があります。
1-2 使用体験談では効能効果を謳うことが禁止
以前の記事でも書きましたが、化粧品広告においては薬機法上、標榜可能な効能効果として56項目に限定されています。このため、56項目の範囲内の効能効果であれば、化粧品広告において謳うこと自体禁止されるわけではありません。
ただし、使用体験談の中では、効能効果に触れる記載があると、いくらそれが事実であったとしても、効能効果が確実であるかの誤解を与える可能性があるとして禁止されています。
効能効果が事実であるにもかかわらず、訴求力が高い使用体験談の箇所では使えない。。化粧品広告の作成者からしたらなんとももどかしい規制ではありますが、消費者に誤解を与えないということを主眼に置いている薬機法の考えからしたらやむを得ないことです。
この効能効果の保証の禁止という点は、前回の記事でも見ましたがデータを利用したり、使用前後の写真も規制したりなど、注意すべき点が多い箇所です。
2 注意すべきポイント
では、次に実際に使用体験談の広告を作るうえで、具体的に注意するポイントを挙げていきます。
2-1 認められるのは、使用方法・使用感・香りのイメージ等の範囲内まで
先ほど見た通り効能効果の表現はできないのですが、使用方法・使用感・香りのイメージ等の範囲内である限り、体験談でも利用できます。
-
具体的には、
- 〇ベタつきが少なくてサラッとしています。
- 〇肌にスーッとなじんでいくところが気に入りました。
- 〇優しい香りに癒されます。
使用感などの表現はいかに効能効果に言及しないで、商品の魅力を伝えるかが重要ですので、広告作成者にとって頭を悩ませるところです。
また、念のためですが、体験談はあくまで事実でなければなりません。体験談を一から創作してしまうと事実と異なる表現として不当表示になってしまいますので、この点はくれぐれもご注意ください。
2-2 過度な表現も認められない
使用感であっても過度な表現は認められません。このどこまでが過度かという点は明確な基準がないので説明が一番難しいところです。
ただ、そもそも効能効果の表現と使用感の表現との間も明確な境目があるとはいえません。また、数年前までは認められた表現は最近だと取り締まりが厳しくなったということもよく見受けられます。
使用体験談の違法性を判定するうえでは、経験であったり感覚値がものをいう世界でもあります。化粧品大手が出している広告の表現を確認したり、もしくは薬機法の広告に精通している専門家から指導を受けるなどの対応をおすすめします。
2-3 説明文を付記しても救済されない
3つ目のポイントとして、説明文などの注意書きになります。よく体験談の下には
との注意書きをつけて説明している広告を見かけます。
ここは体験談のところで一番誤解が多いところなのですが、説明文をつけたからといって表現の違法性が救済されることにはなりません。
相談事例で多いのは、「お客様の声をそのまま載せていて注意書きもつけているから大丈夫でしょう」という内容の問い合わせです。ただ、お客様の声も商品広告の一部になりますので、薬機法の適用を受けることになります。
3 まとめ
使用体験談については、化粧品広告において一番表現が難しいところともいえます。私が化粧品広告のチェックを受ける際にも、他の点は薬機法を守ってよくできているけど、体験談の箇所だけ違反になっているという場面によく遭遇します。
上にあげた3つのポイントをよく確認して、違法のラインを意識しながら訴求力が高い広告作りを目指していってください。
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