届出なしで成分の効能効果を表示できる「栄養機能食品」とは??

「栄養機能食品」は、含まれている栄養成分の機能・効能効果を表示して販売できる食品です。

一般の食品では、製品に含まれる栄養成分を摂取したことによる機能・効能効果を表示することはできませんが、栄養機能食品では、栄養成分の効能効果を表示することができます。

これらが表示できるとなれば、消費者にとっては他の同種類の食品よりも魅力的なものとなりますし、その分、売上アップが見込めるところです。

今回は、健康食品関係の事業者の方々に向けて、栄養機能食品の説明、表示の方法について解説していきます。

1 「栄養機能食品」の説明

まず、栄養機能食品の制度と自社の健康食品を「栄養機能食品」として販売する場合の確認事項について説明します。

1-1 「栄養機能食品」とは?

栄養機能食品とは、特定の栄養成分の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能(効能効果)を表示するものをいいます。

同様に効能効果を表示できる食品として特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品があります。

しかし、栄養機能食品は、製品に含まれる栄養成分が消費庁の定める基準を守れば、表示ができる点と、消費者庁への届出や許可などの手続が一切いらない点が大きな魅力です。

特定保健用食品(トクホ)・機能性表示食品について、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

1-2 対象とされている栄養成分は?

自社の健康食品を「栄養機能食品」として販売したい!と思った場合、まず何を確認すればよいでしょうか。

第1に、健康食品に含まれる栄養成分が、栄養機能食品の対象となる栄養成分であることが必要です。

栄養機能食品の対象となる栄養成分は、以下のとおりです。

・脂 肪 酸(1種類)
n-3系脂肪酸

・ミネラル類(6種類)
亜鉛、カリウム(錠剤、カプセル剤等の形状の製品を除く)、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム

・ビタミン類(13種類)
ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸

これらの栄養成分が含まれる健康食品は、栄養機能食品として販売することができます。

1-3 栄養成分の量の規制は?

第2に、 健康食品の「1日当たりの摂取目安量」に含まれる栄養成分の量が、消費者庁の定める栄養成分量の上限・下限の範囲内あることが必要です。

例えば、日常で不足しがちなビタミンCを補給する健康食品で、1日当たりの摂取目安量が10gの場合には、健康食品10gの中にビタミンCが少なくとも30㎎含まれていなければなりません。

また、ビタミンCの場合には、栄養成分の量の上限が、1000㎎と決まっています。
そのため、健康食品2錠に含まれるビタミンCの量は、1000㎎以下でなければなりません。

栄養成分量の上限・下限は、栄養成分の種類に応じて、以下の表にまとめられていますので、参照してみて下さい。

栄養成分量の上限・下限の一覧

2 栄養機能食品の表示の方法

これらの条件を満たし、自社の健康食品が栄養機能食品として販売できそうだ!となった場合、次に注意することは、製品のパッケージへの表示の方法です。

2-1 栄養機能食品に表示しなければいけない12の事項

栄養機能食品として販売するには、製品のパッケージに必ず表示しなければいけない事項があります。

[パッケージに表示が義務付けられている事項]

(1) 栄養機能食品である旨及び当該栄養成分の表示

(2) 栄養成分の機能

(3) 一日当たりの摂取目安量

(4) 栄養成分の量及び熱量(栄養成分表示)

(5) 摂取の方法

(6) 摂取する上での注意事項

(7) バランスの取れた食生活の普及啓発を図る文言
「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」と表示します。

(8) 消費者庁長官の個別の審査を受けたものではない旨
「本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。」と表示します。

(9) 一日当たりの摂取目安量に含まれる機能に関する表示を行っている栄養成分の量が、栄養素等表示基準値に占める割合

(10)栄養素等表示基準値の対象年齢及び基準熱量に関する文言

(11)調理又は保存の方法に関し特に注意を必要とするものは、当該注意事項

(12)特定の対象者に対し注意を必要とするものにあっては、当該注意事項
『グレープフルーツ(ジュース)は、カルシウム拮抗薬の効果を増強する可能性がある』などと表示します。

これらをまとめると、パッケージの表示は以下のようになります。

パッケージの表示例

引用:消費者庁HP(栄養機能食品とは

2-2 「(2) 栄養成分の機能」の表示方法

健康食品に含まれる栄養成分ごとに定められた機能の表示を記載します。

表示できる文言も、【消費者庁の基準の第3欄】によって細かく定められています。

表示内容の主旨が同じものであっても、 定められた栄養成分の機能に変化を加えたり、省略したりすることは認められないので、注意が必要です。

ビタミンCを栄養成分とする栄養機能食品を例とすると、「ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。」と表示することになります。

2-3 「(3) 一日当たりの摂取目安量」の表示方法

「一日に、〇錠を目安にお召し上がりください。」と表示します。
繰り返しになりますが、この摂取目安量に含まれる栄養成分の量が、消費者庁の定める栄養成分量の上限・下限内あることが必要です。

また、「○粒~○粒お召し上がりください。」という旨の幅の両端をもって表示することも認められています。
しかし、幅の両端それぞれの一日当たりの摂取目安量に含まれる栄養機能表示成分量が、栄養機能食品の規格基準の定められた上限値から下限値の範囲にある必要があります。

2-4 「(10)栄養素等表示基準値の対象年齢及び基準熱量に関する文言」の表示方法

具体的には、「栄養素等表示基準値(18歳以上、基準熱量2,200kcal)」などの文言を表示します。

栄養素等表示基準値とは、本来は年齢などに応じて個人ごとに差異がある栄養素の必要量を平均化したものです。

消費者庁によって、
【栄養素等表示基準値】の表で定められているため、これに応じて表示します。

例えば、ビタミンCを栄養成分とする栄養機能食品の場合には、「栄養素等表示基準値(18歳以上、ビタミンC 100㎎)」と表示することになります。

3 まとめ

今回は、健康食品関係の事業者の方々に向けて、栄養機能食品の説明、栄養機能食品の表示の方法について解説してきました。

今回のポイントは、以下の2つです。

  1. ・健康食品を栄養機能食品として販売する場合には、消費者庁への届出や許可などの手続が一切不要。
  2. ・健康食品を栄養機能食品として販売するためには、①栄養成分が対象となる成分であること、②一日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分の量が、基準の範囲内であること、③製品のパッケージには表示が義務付けられている事項を示すことが必要。

記事を参考に、健康食品関係の事業者の方々は、自社の健康食品を栄養機能食品として販売することもご検討していただければと思います。

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