クーリングオフの通知が届いた!どうすればいい?~弁護士が教えるエステのトラブル対応法③~
お客様からクーリングオフを言われたことがあるエステ経営者の方は意外と少なくないと思います。できるものなら見たくない、来て欲しくないクーリングオフ。ただ、リスクに備えて事前に準備をしておくのも経営者としては重要な仕事です。
クーリングオフの通知が届いたときどのように対応すればよいか、わかりやすく解説していきます。
開業して3年目になる痩身サロンAは、これまでお客様からのクレームもなくやってくることができて、順調に売上も伸ばしていきました。そんな中、最近「全身6回痩身コース」をご契約いただいたお客様からいきなり内容証明郵便が届いた。おそるおそる開けてみると、中には「クーリングオフ」の通知とお支払いいただいたお金を返金するよう書かれてありました。また、文書の最後には返金しない場合には、裁判するとの文字も。
契約書もしっかり作ったし、ご契約後に施術したときは、満足そうに返ったお客様だったので納得はいかなかったが、慌ててしまった経営者は次の日に早速、指定された預金口座に全額返金をしました。
さて、今回の件、どこが危険な対応だったか分かりますか?
1つずつ解説していきましょう。
【目次】
1 サロン側で確認すること
いきなり、内容証明郵便が届くとすごく焦ってしまいますよね。ただ、いったん落ち着いて冷静になってください。
クーリングオフができるときは、いくつか条件があります。下記の情報を参考に、本当にクーリングオフの対象となるか確認して下さい。
1-1 確認する点①:契約の内容
エステ契約において、全ての契約がクーリングオフできるわけではありません。クーリングオフができるのは、契約期間が1カ月を超えていて、契約金額が5万円を超える契約です。
このため、1回限りの体験コースなどは、クーリングオフの対象にはなりません。
1-2 確認する点②:内容証明郵便の日付
クーリングオフができる期間は、法律で8日間と決まっています。この8日間とは契約日も含まれます。ですので、契約した日の1週間後までです。例えば、4月1日に契約した場合は、翌週の4月8日が最終期限日になります。
そして、この8日間以内に、お客様がクーリングオフの主張をした書面を発送すれば条件を満たすことになります。届いた日が8日を過ぎていても効力は有効です。
ここで注意すべきなのが、この8日間とは契約書をお客様に渡した日からカウントするということです。たまに、契約書は次来店されたときに渡している方や、そもそも契約書を作成されない方もいます。契約書は、クーリングオフにも関わってくるので必ず作るようにしてください。
1-3 確認する点③:書面でクーリングオフを主張しているか
法律では、クーリングオフは「書面」で行う必要があると決められています。たまにお客様から電話やメールでクーリングオフを主張される方がいます。この場合には、法律上有効なクーリングオフとはなりません。
ただ、私の考えではありますが、そのようなお客様には「書面でクーリングオフを行ってください」とご案内してあげるのも必要なのではないかと思います。クーリングオフは法律上認められた権利ですので、お客様を責めるのではなく、親切に案内することがサロンの信頼にもつながっていきますし、その後のお客様との無用な紛争を避けることができます。
2.今回の事例について
それでは、具体的に今回の事例について危険な点、良かった点を確認していきます。
2-1 危険な点
まず、危険な点は、クーリングオフの日付を確認することなく、返金してしまっていることです。私が以前、クーリングオフの相談を受けたとき、よく確認すると日付が過ぎていて、返金しなくてもいいものを返金対応してしまっていたケースがありました。
繰り返しになりますが、クーリングオフの通知が来ても慌てずに確認することが必要です。まずは、一呼吸おいてじっくりと契約関係を確認して、周りの人や法律の専門家にも相談してください。
2-2 良かった点
この事例では、良かった点もあります。
まずは、なんといっても契約書を作成していることです。「契約書を作るのは当たり前だよ」と思われた方は大丈夫なのですが、「あれ、うちのところは大丈夫かな」と思った方はすぐにでも確認してください!
他には、お客様にしつこく食い下がらずに、返金対応されていることも良い点です。条件を確認して、クーリングオフの条件を満たしているのであれば、あとは潔く返金してください。納得いかなくて、お客様に電話をしてしつこく食い下がると、消費者センターに駆け込まれたり、ネットに悪いことを書かれてしまうケースがあります。
去る者は追わず、忘れて新しい新規顧客開拓に力を注ぎましょう!
3.まとめ
このようにクーリングオフの通知を受け取ったときは、まずは冷静になること。
そして、
- ①:契約の内容
- ②:内容証明郵便の日付
- ③:書面でクーリングオフを主張しているか
を確認してください。
クーリングオフについて、もっと詳しいことが知りたい!という方は、 エステ契約におけるクーリングオフに詳しい内容を記載していますので、こちらもぜひ確認してみてください。
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