機能性表示食品の届出手順と広告・表示をする際の注意点

機能性表示食品は、機能性・効能効果を表示した食品のことです。

機能性・効能効果とは、たとえば、「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、健康の維持や増進に役立つという食品のはたらきのことをいいます。

機能性表示食品は、食品でありながらも、製品に含まれる栄養成分を摂取したことによる機能性・効能効果を表示できる点が大きな魅力です。

これらが表示できるとなれば、消費者にとっては他の同種類の食品よりも魅力的なものとなりますし、その分、売上アップが見込めるところです。

今回は、健康食品の製造に携わる事業者の方々に向けて、機能性表示食品の説明、届出までの手順、広告・表示をする際の注意点について解説していきます。

1 機能性表示食品とは?

機能性表示食品とは、事業者の責任において、効能効果(機能性)を表示できる食品であり、科学的根拠に基づくために、安全性及び機能性に関する情報などを消費者庁長官へ届け出る食品を言います。

同様に効能効果を表示できる食品として特定保健用食品(トクホ)があります。

しかし、機能性表示食品は、消費者庁による検査等がなく届出のみで手続完了する点加工食品だけでなく、生鮮食品にも届出が可能な点がが大きな魅力です。

特定保健用食品(トクホ)について、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

2 機能性表示食品の届出の手順は?

まず、自社の健康食品などの製品を機能性表示食品として販売したい場合には、販売を予定する日の60日前までに、以下の6つの手順を経て、届出を行う必要があります。

  1. ①製品が機能性表示食品の対象食品となるかを判断する。
  2. ②製品の安全性の根拠を明確にする。
  3. ③生産・製造及び品質の管理体制を整える。
  4. ④製品により健康被害が発生した際の情報収集体制を整える。
  5. ⑤表示する機能性の根拠を明確にする。
  6. ⑥製品のパッケージに適正な表示を行う。

それでは、①~⑥の各手順について説明していきます。

2-1 「①製品が機能性表示食品の対象食品となるかを判断する。」とは?

機能性表示食品の届出ができる製品は、生鮮食品・加工食品を問いません。

しかしながら、以下の5つの類型 に該当する製品は、機能性表示食品の届出を行うことが出来ませんので、注意が必要です。

⑴疾病に罹患している者、未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む。)、授乳婦を対象に開発された製品

⑵製品に含まれる特定の保健の目的に資する成分(機能性関与成分)として、たんぱく質、脂質、炭水化物、食物繊維、糖質、各種ビタミン、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなどをあげる食品

ただし、
たんぱく質のうち、各種アミノ酸、各種ペプチド
n-6系脂肪酸のうち、γ‐リノレン酸、アラキドン酸
n-3系脂肪酸のうち、α‐リノレン産、EPA(eicosapentaenoic acid)、DHA(docosahexaenoic acid)
糖質のうち、キシリトール、エリスリトール、フラクトオリ ゴ糖、キシロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)
糖類のうち、L-アラビノース、パラチノース、ラクチュロー ス
食物繊維のうち、難消化性デキストリン、グアーガム分解物
ビタミンAのうち、プロビタミン A カロテノイド(β-カロテン、 α-カロテン、β-クリプトキサンチン等)
は、特定の保健の目的に資することが明らかとなっているため、機能性関与成分とすることが可能となっています。

⑶特別用途食品(特定保健用食品を含む。)、栄養機能食品となる製品

⑷アルコールを含有する飲料

⑸脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないものに限る。)、ナトリウムの過剰な摂取につながる食品

2-2 「②製品の安全性の根拠を明確にする。」とは?

一般の食品であれば、製品の安全性に関して、食品安全基本法や食品安定法による規制を受けます。

しかし、機能性表示食品は、機能性の表示があることによって、表示を過信した消費者が、製品を過剰に摂取するおそれがあります

このため、機能性表示食品の届出を行おうとする事業者には、一般の食品よりも厳格に安全性をチェックしたことを示すことが求められます。

まず、以下のいずれかの方法により、製品の安全性を評価しなければなりません。また、届出時に、これらの方法に応じた形式の書類の提出が必要となります。

  1. ⑴喫食実績による食経験の評価
  2. ⑵データベースの2次情報などを用いた情報収集
  3. ⑶最終製品又は機能性関与成分における安全性試験の実施

また、機能性表示食品は医薬品と併せて使用した場合や複数の機能性関与成分を摂取した場合に健康被害が生じてしまう恐れがあります。

このため、以下のことが求められます。

    ⑴製品の機能性関与成分と医薬品の相互作用の有無を確認し、相互作用が認められる場合は、届出資料にて販売することの適切性を科学的に説明できること

  1. ⑵機能性関与成分を複数含む場合、当該成分同士の相互作用の有無を確認し、相互作用が認められる場合は、届出資料にて販売することの適切性を科学的に説明できること

2-3 「③生産・製造及び品質の管理体制を整える。」とは?

機能性表示食品の生産・製造における衛生管理・品質管理の観点から、安全性が確保できるよう、製造の現場において以下の3つの体制を整えなければなりません。

  1. ⑴加工食品における製造施設・従業員の衛生管理などの体制/生鮮食品における生産、採取、漁獲などの衛生管理体制
  2. ⑵規格外製品の流通を防止するための取組の体制
  3. ⑶機能性関与成分及び安全性の担保が必要な成分に関する定量試験の分析の体制

2-4 「④製品により健康被害が発生した際の情報収集体制を整える。」とは?

機能性表示食品の届出を行う事業者は、健康被害の発生の未然防止及び拡大防止のため、消費者、医療従事者などから健康被害の報告を受け取るための体制を整備しなければなりません。

具体的には、健康被害情報の対応窓口部署を設けること、連絡先・連絡対応日時(曜日、時間等)を定めること、消費者への情報提供や行政機関への報告の流れを示した連絡フローチャートを作成することが求められます。

2-5 「⑤表示する機能性の根拠を明確にする。」とは?

機能性表示食品は、製品に含まれる特定の保健の目的に資する成分(機能性関与成分)の機能性について根拠を示す必要があります。

そのため、機能性表示食品の届出を行う事業者は、以下の3つの検査のいずれかを行い、届出時に機能性関与成分の機能性について根拠を提出することになります。

  1. ⑴最終製品についての臨床試験
  2. ⑵最終製品についての研究レビュー(システマティックレビュー)
  3. ⑶機能性関与成分に関する研究レビュー(システマティックレビュー)

また、最終製品の機能性についての根拠が存在するのかまたは機能性関与成分事態の機能性についての根拠が存在するのか、のどちらかに従って、製品に表示できる文言も変わってくるため、注意が必要です。

⑴最終製品についての臨床試験または⑵研究レビューを用いた場合
(表示例)
「本品にはラクトフェリンが含まれるので、内臓脂肪を減らすのを助け、高めのBMIの改善に役立ちます。」

⑶機能性関与成分に関する研究レビューを用いた場合
(表示例)
「本品には、β‐クリプトキサンチンが含まれています。β‐クリプトキサンチンは骨代謝のはたらきを助けることにより、骨の健康に役立つことが報告されています。」

2-6 「⑥製品のパッケージに適正な表示を行う。」とは?

機能性表示食品の製品表示は、食品表示基準、同基準に関する通知、Q&A、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」に基づいて、パッケージに適正な表示が行われていなければなりません。

具体的には、製品のパッケージに、一般の食品の表示事項に加えて、以下の事項が必要な記載事項となっています。

  1. (1) 機能性表示食品である旨
  2. (2) 科学的根拠を有する機能性関与成分
  3. (3) 機能性関与成分または機能性関与成分を含有する食品が有する機能性
  4. (4) 栄養成分の量及び熱量
  5. (5) 一日当たりの摂取目安量当たりの機能性関与成分の含有量
  6. (6) 一日当たりの摂取目安量
  7. (7) 届出番号
  8. (8) 食品関連事業者の連絡先
  9. (9) 摂取の方法
  10. (10) 摂取する上での注意事項
  11. (11) 調理又は保存の方法に関し特に注意を必要とするものにあっては当該注意事項など

仮に、食品表示基準に基づいた表示を行っていない場合には、食品表示法違反として、消費者庁からの指示や命令のほか、刑事上の罰則の対象となる可能性があるので、注意が必要です。

3 機能性表示食品が表示・広告できる事項とその注意点

機能性表示食品は、製品に含まれる特定の保健の目的に資する成分(機能性関与成分)の摂取による効能効果について、表示・広告することができますが、いくつかの注意点があります。

3-1 一般の食品との違い

まず、一般の食品は、医薬品的な効能効果を表示・広告することは、薬機法という法律によって規制されています。

そのため、届出のない健康食品などにおいて効能効果を表示・広告した場合には、薬機法に違反してしまいます。

しかし、機能性表示食品においては、例外的に消費者庁に届け出た機能性関与成分に関して、健康の維持及び増進に資するとの効能効果を表示・広告できることになります。

3-2 機能性表示食品の制度上、認められない表現を用いた場合

機能性表示食品の制度のメリットは、効能効果を表示できる点ですが、いかなる効能効果でも表示できるわけではありません。

以下のような、健康の維持及び増進の範囲を超えた表現は、機能性表示食品の届出を行った場合でも許されず、薬機法に違反することになります。

[薬機法違反となりうる表現]

・疾病の治療効果又は予防効果を暗示する表現
(例)「糖尿病の治療効果がある。」、「高血圧の予防に効く。」

・健康の維持及び増進の範囲を超えた、意図的な健康の増強を標榜するものと認められる表現
(例)「肉体改造に役立つ。」、「増毛効果がある。」、「美白になる。」

3-3 届出の根拠・内容に反する広告を行った場合

機能性表示食品の届出を行った場合でも、
あくまで広告に記載できるのは、①科学的根拠を有する機能性関与成分に関しての②消費者庁への届出に則った効能効果に限られます。

具体的に以下のような表現の広告は、景品表示法の不当表示又は健康増進法の虚偽誇大広告に該当するおそれがあります。

[景品表示法・健康増進法違反となりうる広告]

・科学的根拠のない効能効果を内容とする広告
(例)
「本品には、葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)が含まれます。葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)には、肥満気味な方の、体重やお腹の脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪)やウエスト周囲径を減らすのを助ける機能があることが報告されています。肥満気味な方、BMIが高めの方、お腹の脂肪が気になる方、ウエスト周囲径が気になる方に適した食品です。」との内容で届出を行っていたにもかかわらず、
『飲んでしっかりと目指す!!体重やお腹の脂肪を減らす。』などと表現する広告。

・届け出た効能効果を明らかに超えた内容の効能効果を表示する広告
(例)
届出表示が「本品には○○(機能性関与成分の名称)が含まれます。○○には、血中コレステロールを低下させる機能があることが報告されています。」であるにもかかわらず、「コレステロールを低下させ、痩身の効果があります。」と表現する広告

3-4 届出表示を省略・簡略した広告を行った場合

機能性関与成分の科学的根拠を得ているものの、商品自体に機能があるとの根拠を有していないにもかかわらず、届出表示の一部を省略することにより、あたかも、商品自体に機能があるかのように示す広告は、景品表示法及び健康増進法上問題となるおそれがあるとされています。

要するに、根拠付けの検査方法に応じた表現を使用しなければならないということです。

[景品表示法・健康増進法違反となりうる広告]

届出表示が「本品には○○(機能性関与成分の名称)が含まれます。○○には、血中コレステロールを低下させる機能があることが報告されています。」と機能性関与成分の効果の科学的根拠を得たものであるにもかかわらず、「本品には○○(機能性関与成分の名称)が含まれるので、コレステロールを下げる。」と製品自体に科学的根拠があるように表現した広告

3-5 届け出た機能性関与成分以外の成分の機能を強調した広告を行った場合

他にも、届け出た機能性関与成分以外の成分を強調することにより、あたかも、それ以外の成分が機能性関与成分であるかのように示す広告は、景品表示法及び健康増進法上問題となるおそれがあります。

消費者は、それ以外の成分も機能性関与成分であるとの印象を抱くと考えられるからです。

[景品表示法・健康増進法違反となりうる広告]

(例)
機能性関与成分が「難消化性デキストリン」のみであるにもかかわらず、「難消化性デキストリン及び大豆イソフラボンが含まれるので 内臓脂肪を減らすのを助ける機能があります。」 と表現した広告

4 まとめ

今回は、健康食品の製造に携わる事業者の方々に向けて、機能性表示食品の説明、届出までの手順、広告・表示をする際の注意点について解説してきました。

今回のポイントは、以下の2つです。

  1. ①機能性表示食品は、費者庁による検査等がなく届出のみで手続完了するし、加工食品だけでなく、生鮮食品にも届出が可能。
  2. ②機能性表示食品の届出を行った場合には、製品に、摂取により保健の目的が期待できる旨の効能効果を表示することができる。

機能性表示食品の効能効果の表示は、消費者に対する製品のアピールポイントとなります。

健康食品を製造する事業者の方々におかれましては、今回の記事を参考に、機能性表示食品の届出を行うことを検討してみてください。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士小林 雷太
美容事業や健康食品事業の携わる経営者の方々は、お客様との法的なトラブルだけでなく、広告や製品表示に関して行政との法的なトラブルに直面することも珍しくありません。 これらに対して、経営者の方々の目線に立った最善の予防策や解決策をご提案してまいります。

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