出張、訪問の美容理容サービスを行う時に知っておきたい注意点

 美容師、理容師の働き方として、最近では出張、訪問をする美容理容サービスが増えてきました。少子高齢化社会になり、高齢者の方に対する美容サービスは今後も需要増が期待できる分野と言われています。美容師理容師の法律も、時代とともに少しずつ規制が緩和してきて多様なサービスが展開できるようになってきています。
 また、美容師、理容師としてもこれまでのように路面店に勤務して、店舗へ来たお客様を相手にするのではなく、フリーランスなど多様な働き方が増えてきています。

 今回は、出張、訪問の美容理容サービスを行うことができる条件と、取り組む前に是非とも知っておきたい注意点について解説していきます。

1 出張、訪問の美容理容サービスの法律の規制

 出張、訪問の美容理容サービスの規制は、時代のニーズに合わせて明確化されて、ルール化されてきました。
 

1-1 原則は、美容室理容室以外は禁止

 まず、法律の規制の考え方から説明しますと、原則として美容室、理容室以外について、サービスすることは禁止されています。

☆美容師法
(美容所以外の場所における営業の禁止)
第七条 美容師は、美容所以外の場所において、美容の業をしてはならない。ただし、政令で定める特別の事情がある場合には、この限りでない。

 このように、美容師、理容師は原則として、届出をした場所以外でサービスを行ってはいけないことになります。このような規制の理由としては、美容室、理容室は開設時に衛生面での基準をクリアしなければならないので、他の場所だと衛生面での基準が担保されないことにあります。

1-2 規制の例外について

 このように、原則として出張、訪問の美容理容サービスは禁止されていますが、次の場合は法律上の例外として認められています。

  1. ・疾病その他の理由により、理容所・美容所に来ることができない者に対して理容・美容を行う場合
  2. ・婚礼その他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に理容・美容を行う場合
  3. ・山間部等における理容所・美容所のない地域に居住する者に対して、その居住地で施術を行う場合
  4. ・社会福祉施設等において、その入所者に対して施術を行う場合
  5. ・演劇に出演する者等に対して、出演等の直前に施術を行う場合

2 出張、訪問の美容理容サービスができる場合

 このように、出張、訪問の美容理容サービスができる場合が法律や条例で定められていますが、もう少しかみ砕いて説明していきます。

2-1 ①高齢や病気等の方に対して

 高齢や病気などで美容室、理容室に来ることができない人に対しては、出張、訪問のサービスが可能です。老人ホーム等の施設への出張、訪問も認められていますが、まずは施設なり保健所で可能かどうか確認するようにしてください。

 なお、美容室、理容室に来ることができないという状況がありますので、単に高齢であるとか、病気であるとかという理由だけで出張、訪問サービスが認められない場合があるので、ご注意ください。

 また、対象者ですが、高齢や病気の方だけでなく、介護をしている家族の人向けもサービスが可能とされています。ただ、家族の人に対するサービスも家族の援助等を得るのが困難な場合という条件が付いています。
 こちらも保健所によって取扱いが異なる場合があるので、まずは保健所に相談されたほうがよいと考えます。

2-2 ②育児をしている方に対して

 介護だけでなく、育児により家を空けることができない人に対してもサービスが可能とされています。
 ただ、こちらも家族の援助等を得るのが困難な場合という条件が付いています。

2-3 ③結婚式などの出張メイク

 結婚式などの出張メイクは、可能とされています。
 ただ、注意しておきたいのが、結婚式に先立つリハーサル(式の 2 週間前程度)におけるヘアメイクサービスや、挙式をせずに記念写真の撮影のみを行うフォトウェディングにおけるヘアメイクサービスは、厚労省の考えとしてNGとなっています。
 このため、認められているのは、結婚式などの当日の出張メイクになります。

2-4 ④山間部など美容室、理容室がない地域

 山間部や離島など、美容室や理容室がない地域での出張、訪問サービスのことになります。

2-5 ⑤芸能関係などの出演直前の場合

 テレビ出演やモデルなど、出演の直前に行う場合に行うサービスになります。

3 出張、訪問美容、理容サービスの注意点

 例外として出張、訪問美容、理容サービスが認められる場合を説明してきましたが、その他の注意点もあります。

3-1 行政に対する届出が必要な場合

 保健所に対して届出が必要だったり、講習の受講が必要と各地域によって取扱いが異なります。なお、東京都は23区内とそれ以外の地域で保健所の管轄が異なるので、扱いも異なる場合があるようです(なお、本記事執筆時では、特に届出は必要なさそうです)。
 サービスを行う前に、各保健所に確認するようにしてください。

3-2 衛生管理

 出張、訪問サービスが認められるとしても、衛生管理はしっかりと行わないといけません。作業場所の確保であったり、タオルや器具類の清潔性について衛生的に取り扱うよう注意を払ってください。

3-3 要件に満たしていないと・・・

 認められる出張、訪問美容、理容サービスの条件に当てはまっていない場合には、罰則の規定はありません。ただ、免許の取消や業務停止という罰則を受けるおそれがあります。
 大々的に違反行為をしない限り、いきなり免許取消ということではなく保健所等から注意ということになると思います。ただ、保健所からの調査ということになると、対応も大変になるので、事前に問題がないかよくよく確認されたほうが安全です。

4 まとめ

 今回は、出張、訪問の美容理容サービスが認められる場合と、その際に知っておくべき注意点についてまとめてみました。
 まだまだ、出張、訪問サービスが認められているのは例外的な場面でして、今のところ事業として展開しているのは高齢者の老人ホームなどの施設向けが多いように思います。
 規制の基準も各保健所によって異なったりしますので、事業として行う場合には事前に保健所等に問い合わせて、自身の行う出張、訪問サービスが適法かどうか確認するようにしてください。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士茨木 拓矢
美容事業を経営されている事業者様は、薬機法(旧薬事法)や景品表示法規制など経営に絡んだ多くの法的課題を抱えています。これらの問題に対して、経営者目線でお客様とのチームワークを構築しながら、法的問題点を抽出し、最善の解決策を共に見つけ、ご提示致します。

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