【最新情報】美容・健康業界の事業者様向け二重価格表示問題(3月16日付の消費者庁の発表)

 平成30年3月16日付けで、消費者庁より新たに、景品表示法に基づく措置命令が発表されました。今回問題となったのは二重価格表示であり、措置命令の中でも頻出している分野です。
 価格表示の点は、ついつい広告で違反な点をやってしまうことが多いので、今回の事例を参考に自社のホームページでは行わないように注意してください。

1 発表の内容

 消費者庁より発表された内容は次の通りです。

 ある通販番組を運営する会社が、テレビの特別セールとして本日限り49%OFFの価格で販売するとして、明日以降の価格も併記しながら広告で謳った事案でした。
 ただ、実際には、テレビが当該セール企画終了後に販売される期間は3日間のみであって、ごく短期間のみ「明日以降」と称する価額で販売するにすぎず、将来の販売価格として十分な根拠のあるものとは認められないとされています。

 また、本件と同型のテレビを同社と同程度又は下回る価格で販売する他の販売事業者が複数存在していたことも指摘されています。

消費者庁HP

2 問題点

では、本件の事案ではどこが問題だったのでしょうか。

2-1 二重価格表示

 一般的に、価格表示の方法としては、単体で価格を表示するのではなく、他の高い価格を併記してより今回の価格が安いように表示する場合もよくあります。このような表示方法は、「二重価格表示」と言われており、消費者の商品選択のためには適していますが、その反面適切に比較がなされていないと不当表示に該当する可能性があります。

2-2 二重価格表示の具体的事例

 二重価格表示には次のようにパターンがあります。

①過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示について

 実際の販売したことのない価格であったり、ごく短期間のみ当該価格で販売したにすぎないなどは、不当表示となります。

②将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示

 実際の販売することのない価格であったり、ごく短期間のみ当該価格で販売するにすぎないなどは、不当表示となります。

③希望小売価格を比較対照価格とする二重価格表示について

 製造業者等により設定されあらかじめカタログ等により公表されているとはいえない価格を希望小売価格として称して比較対照価格に用いる場合には、不当表示に該当するおそれがあります。

 ※二重価格表示について、より詳しく知りたい方は価格を広告で記載するときの注意点を参照してください。

2-3 今回の事例

 今回の事例では、本日だけの特別価格として、49%引きとしていたのですが、通常価格に戻したのは次の日から3日だけだったという事案でした。また、49%引きの価格についても、同じような金額で販売する事業者もおり、格別安い金額というわけでもなかったようです。
 これは、通常価格が3日間というごく短期間のみ当該価格で販売するにすぎないと評価されますので、先ほど挙げた具体例のうち「②将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示」

3 まとめ

 今回は通販番組の業者が対象でしたが、価格表示については美容関連や、健康食品ECサイト、エステサロンのホームページを対象にこれまで複数回、消費者庁より措置命令が発表されています。
 これから年度末となり、セール期間を打ち出す業者様が多くなりますので、価格表示の点は十分注意しておいて下さい。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士茨木 拓矢
美容事業を経営されている事業者様は、薬機法(旧薬事法)や景品表示法規制など経営に絡んだ多くの法的課題を抱えています。これらの問題に対して、経営者目線でお客様とのチームワークを構築しながら、法的問題点を抽出し、最善の解決策を共に見つけ、ご提示致します。

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