健康食品において注意するべき原材料・成分の広告方法―健康食品と薬機法①

健康食品の広告・表示については、薬機法に違反しないようにするため、医薬品と誤認されない表示というのがポイントとなります。そして、健康食品と医薬品を分ける基準として重要なのが、原材料・成分の広告方法になります。
今回は、健康食品において注意するべき原材料・成分の広告方法を説明していきます。

1 46通知における原材料の分類

健康食品の表記については、医薬品と誤認されてしまうと薬機法違反となってしまいます。そして、健康食品と医薬品を分ける基準として重要なのが、厚労省が出している「医薬品の範囲に関する基準」、通称「46通知」と呼ばれるものです。

1-1 46通知とは

健康食品と医薬品を分ける基準として、実務上重要なのが46通知(ヨンロクツウチ)です。なぜ「46」かというと、昭和46年に最初に発表されたからなのですが、この46通知はこれまでも度重なる改正があって、現在の実務上でも重要な基準です。

この46通知では、ある製品が「医薬品に該当するものか否か」判断する要素として、以下の4つを上げています。

  1. ①物の成分本質(原材料)
  2. ②医薬品的な効能効果
  3. ③医薬品的な形状
  4. ④医薬品的な用法用量

1-2 原材料の扱い

このように、46通知では、①物の成分本質(原材料)を一番初めに考慮すべき要素としてあげています。
それでは、原材料の判断方法についてもう少し深く説明していきます。

2 医薬品リストについて

①物の成分本質(原材料)として、医薬品の該当性を判断するために、厚労省は成分一覧の表を提示しています。

2-1 リストの考え方

厚労省が発表している表は、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(医薬品リスト)と、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」の二つに分かれます。

2-2 医薬品リストについて

まず、医薬品リストですが、このリストに掲載されている成分は、健康食品に使用することはできません。これらを1種でも原材料として使用したものは「医薬品」と判断されることになります。
この医薬品リストに掲載されている成分は、主に医薬品に含有されている成分であり、医薬品製造の際に承認・許可を与えているものになります。

詳細なリストは、東京都福祉保健局HPをご確認ください。

2-3 非医薬品リストについて

次に非医薬品リストですが、こちらは、このリストに掲載されている成分を健康食品に使用することは可能です。ただ、上で見た46通知の他の要素(医薬品的な効能効果の標ぼうなど)に該当しないことが必要です。
また、日本で食品添加物として認められていない等の理由で食品に使用できないもの、食品添加物の基準に従って使用しなければならないものがあるので、注意が必要です。

詳細なリストは、東京都福祉保健局HPをご確認ください。

2-4 医薬品リストの判断方法

医薬品リストに該当するかどうかの判断としては、製品の表示方法に基づいて行われます。これは、薬機法は消費者が医薬品と誤解することを防ぐ目的があるところ、消費者は、製品の表示などによって原材料の確認をするしかないからです。
このため、実際に配合・含有されていない成分であっても、配合・含有されていることを表示してしまうと、その成分が原材料として使用されているものとみなされて、「医薬品」と判断されてしまうことになります。

3 医薬品リストの注意点

次に、この医薬品リストの注意点を説明していきます。

3-1 医薬品リストの変更

これら医薬品リストや非医薬品リストは、常に同じではなく、年々改定されています。これは、時代とともに、食生活が変化することや、新たな成分の安全性等の知見が得られることに対応するものです。
このため、現在医薬品リストに掲載されていない成分であっても、将来医薬品リストに掲載されることもありますので、ご注意ください。

3-2 食品添加物の場合

食品添加物として使用されている原材料は、医薬品と判断されるものであっても、食品に使用できる場合があります。
ただ、その場合の条件としては、原材料を使用していることを記載しないか、又は記載していたとしても食品添加物として使用していることを併記してある場合に限ります。
なお、使用する際には、食品添加物として使用できるかどうかなど、行政に問合わせしたほうが安全です。

以上で解説した健康食品と医薬品を分ける基準については、以下の記事にて、補足の説明をしておりますので、今回の記事と併せてご覧ください

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士茨木 拓矢
美容事業を経営されている事業者様は、薬機法(旧薬事法)や景品表示法規制など経営に絡んだ多くの法的課題を抱えています。これらの問題に対して、経営者目線でお客様とのチームワークを構築しながら、法的問題点を抽出し、最善の解決策を共に見つけ、ご提示致します。

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