化粧品、薬用化粧品、雑品の違いについて ~【薬事広告対策】化粧品編①~
このサイトでは、これまで美容業界の事業様に注意してもらいたい広告表現について説明してきました、これからは特に化粧品の広告について解説していきます。
化粧品というと皆様にも一般的にイメージがつきやすいと思いますが、薬事上では「化粧品」であったり「薬用化粧品」や「雑品」など化粧品の類似のものもあります。
今回は、まず初めに広告対象とするものが薬事上の「化粧品」に該当するか、「薬用化粧品」、「雑品」との違いについて説明します。
【目次】
1 化粧品、薬用化粧品、雑品の違い
まず、「化粧品」とは、メーキャップ製品、香水、シャンプーなど、人の身体を清潔にしたり、美化するために使用するもので、身体に、作用の緩和なものをいいます。
次に「薬用化粧品」とは、肌あれ・にきびを防ぐ、美白などの効果を持つ「有効成分」が配合された化粧品をいいます。「薬用化粧品」は、上で見た「化粧品」と形状や使用方法は似ていますが、製造販売には承認が必要となり、その分承認を受けた範囲の効能効果を謳うことができます。
最後に「雑品(雑貨)」とは、化粧品にも、医薬部外品にも入らないものとなります。「雑品」は、薬機法上の定義規定はなく、「化粧品」や「薬用化粧品」で求められる届出や承認は不要となります。
これらの説明をせっけんで表すと、
〇「化粧品」のせっけんは皮膚をキレイにする、清潔にするもの等
〇「薬用化粧品」のせっけんは、体臭・汗臭を防ぐものであったり、皮膚の清浄、にきび肌荒れを防ぐ等のもの
〇「雑貨」のせっけんは、台所用石けんや洗濯用石けんに限られ、顔や身体用のものは含まれない
上記のように解釈できます。
2 化粧品とは
上では、簡単に「化粧品」等の違いを説明しましたが、これからは、「化粧品」が薬事上どのように規定されているか見ていきます。
2.1 薬機法(旧薬事法)の定義
まず、薬機法上では次のように規定されています。
【薬機法2条3項】
この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。
これだけだとわかりにくいので、かみ砕いて説明しますと、以下の条件が当てはまるものが薬事上の「化粧品」ということになります。
- 【効果】
- ①人の身体を清潔にするもの
- ②人の身体を美化し、魅力を増し、容貌を変えるもの
- ③人の皮膚、毛髪を健やかに保つもの
- 【使用方法】
- 髪、顔、肌に塗る、つける、その他これらに類似する方法
- 【効果の程度】
- 人体に対する作用が緩和なもの
- 【除外】
- 薬用化粧品等でないもの
2.2 化粧品の商品具体例
では、上でみた「化粧品」の効果から実際の化粧品の商品を見ていきましょう。
-
①人の身体を清潔にするもの
- (例)せっけん、歯磨き粉、シャンプーなど
-
②人の身体を美化し魅力を増し容貌を変えるもの
- (例)ファンデーション、香水、メーキャップ製品
-
③人の皮膚若しくは毛髪を健やかに保つもの
- (例)化粧水、乳液、クリームなど
これらのうち、メーキャップ製品や化粧水などいわゆる一般的な意味合いでの化粧品ですので、すんなりと理解できると思います。ただ、薬事上の「化粧品」はこれだけではなく、せっけんや、歯磨き粉まで「化粧品」に含まれるものとなっています。
せっけんはまだ化粧品という感覚があるかもしれません。歯磨き粉は化粧品?と思われますが、これも薬事上は「化粧品」という扱いになります。
また、最近では「飲む美容液」などといって甘酒だったりが販売されていますが、これは体内に直接入れるものです。このため、化粧品の定義である「塗る、つける」などに該当しないため、薬事上の「化粧品」には該当しません。
2.3 化粧品の効能効果の具体的説明
化粧品の定義上の効果は先ほど見た3つの内容になりますが、これらの具体的な効能効果まで厚生労働省によって定められています。
種類 | 効能・効果 |
---|---|
(1) 頭皮、毛髪を清浄にする。 (2) 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。 (3) 頭皮、毛髪をすこやかに保つ。 (4) 毛髪にはり、こしを与える。 (5) 頭皮、毛髪にうるおいを与える。 (6) 頭皮、毛髪のうるおいを保つ。 (7) 毛髪をしなやかにする。 (8) クシどおりをよくする。 (9) 毛髪のつやを保つ。 (10)毛髪につやを与える。 (11)フケ、カユミがとれる。 (12)フケ、カユミを抑える。 (13)毛髪の水分、油分を補い保つ。 (14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。 (15)髪型を整え、保持する。 (16)毛髪の帯電を防止する。 (17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。 (18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。 (19)肌を整える。 (20)肌のキメを整える。 (21)皮膚をすこやかに保つ。 (22)肌荒れを防ぐ。 (23)肌をひきしめる。 (24)皮膚にうるおいを与える。 (25)皮膚の水分、油分を補い保つ。 (26)皮膚の柔軟性を保つ。 (27)皮膚を保護する。 (28)皮膚の乾燥を防ぐ。 |
(29)肌を柔らげる。 (30)肌にはりを与える。 (31)肌にツヤを与える。 (32)肌を滑らかにする。 (33)ひげを剃りやすくする。 (34)ひげそり後の肌を整える。 (35)あせもを防ぐ(打粉)。 (36)日やけを防ぐ。 (37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。 (38)芳香を与える。 (39)爪を保護する。 (40)爪をすこやかに保つ。 (41)爪にうるおいを与える。 (42)口唇の荒れを防ぐ。 (43)口唇のキメを整える。 (44)口唇にうるおいを与える。 (45)口唇をすこやかにする。 (46)口唇を保護する。 口唇の乾燥を防ぐ。 (47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。 (48)口唇を滑らかにする。 (49)ムシ歯を防ぐ(※)。 (50)歯を白くする(※)。 (51)歯垢を除去する(※)。 (52)口中を浄化する(歯みがき類)。 (53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。 (54)歯のやにを取る(※)。 (55)歯石の沈着を防ぐ(※)。 (56)乾燥による小ジワを目立たなくする。 (※使用時にブラッシングを行う歯みがき類) |
2 「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
3( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。
引用:「化粧品の効能の範囲の改正について」
このようにかなり細かく定められていますが、化粧品の効能効果はこの56項目で定められたものしか認められていません。
このため、化粧品を広告するときも、この56項目は必須で守らなければならないものとされています。
3 薬用化粧品とは
3.1 薬機法(旧薬事法)の定義
薬用化粧品とは、肌あれ・にきびを防ぐ、美白、デオドラントなどの効果を持つ「有効成分」が配合された化粧品になります。この有効成分が配合されていることが「化粧品」との大きな違いになります。
なお、薬用化粧品は薬機法上では、「医薬部外品」の一種として定義されています。
3.2 薬用化粧品の効能効果の具体的説明
薬用化粧品は、先ほど見た化粧品の効能効果に加えて、承認がとれた薬用化粧品としての効能効果を謳うことができます。薬用化粧品の効能効果は次の表のとおりです。
種類 | 効能・効果 |
---|---|
1.シャンプー |
ふけ、かゆみを防ぐ。 毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ。 毛髪・頭皮を清浄にする。 毛髪・頭皮をすこやかに保つ。(※) 毛髪をしなやかにする。(※) ※二者択一 |
2.リンス |
ふけ、かゆみを防ぐ。 毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ。 毛髪の水分・脂肪を補い保つ。 裂毛・切毛・枝毛を防ぐ。 毛髪・頭皮をすこやかに保つ。(※) 毛髪をしなやかにする。(※) ※二者択一 |
3.化粧水 |
肌あれ。あれ性。 あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。 油性肌。 かみそりまけを防ぐ。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 注1) 日やけ・雪やけ後のほてり(を防ぐ)。 肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。 皮膚をすこやかに保つ。皮膚にうるおいを与える。 |
4.クリーム、乳液、 ハンドクリーム、化粧用油 |
肌あれ。あれ性。 あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。 油性肌。 かみそりまけを防ぐ。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 注1) 日やけ・雪やけ後のほてり(を防ぐ)。 肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。 皮膚をすこやかに保つ。皮膚にうるおいを与える。 皮膚を保護する。皮膚の乾燥を防ぐ。 |
5.ひげそり用剤 |
かみそりまけを防ぐ。 皮膚を保護し、ひげをそりやすくする。 |
6.日やけ止め剤 |
日やけ・雪やけによる肌あれを防ぐ。 日やけ・雪やけを防ぐ。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 注1) 皮膚を保護する。 |
7.パック |
肌あれ。あれ性。 にきびを防ぐ。 油性肌。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 注1) 日やけ・雪やけ後のほてり(を防ぐ)。 肌をなめらかにする。 皮膚を清浄にする。 |
8.薬用石鹸(洗顔料を含む) | <殺菌剤主剤のもの> (消炎剤主剤をあわせて配合するものを含む) 皮膚の清浄・殺菌・消毒。 体臭・汗臭及びにきびを防ぐ。 <消炎剤主剤のもの> 皮膚の清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ。 |
注2)上記にかかわらず、化粧品の効能の範囲のみを標ぼうするものは、医薬部外品としては認められない。
引用:「医薬品・化粧品等広告の実際2006(監修 薬事監視研究会)」
このように、薬用化粧品の効能の範囲についても承認が認められる内容が細かく定められており、商品された範囲内でのみ広告で効能効果を謳うことが認められています。
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