化粧品広告における適法な「美白」表現と注意点~【薬事広告対策】化粧品編⑨~

 化粧品広告において、特に使いたいフレーズとして、「美白」、「ホワイトニング」効果があります。ただ、この「美白」効果については、薬機法によって厳しく制限されており、決められた範囲内の表現を守る必要があります。
今回は、一般化粧品と、承認を要する薬用化粧品の場合に分けて、認められる表現、認められない表現を詳しく解説していきます。

1 認められる表現

 「美白」という文字からは、肌が白くなり美しくなっていく印象を受けます。しかし、残念ながら薬機法においては、「美白」を肌が白くなっていくという意味で使うことはできません。肌の黒ずみが消すことは、治療に該当するため化粧品の効果としては認められません。

1-1 一般化粧品の美白表現

 一般化粧品で認められている効能効果については、前の記事でも説明したとおり、56項目の範囲内でしか認められておりません。そして、「美白」効果は、この56項目の範囲内で定められた効能効果ではありませんので、効能効果として「美白」と謳うことはNGです。
 ただ、一般化粧品では、効能効果の表現以外に、メーキャップ効果を表現することは認められています。このため、

メーキャップ効果により肌を白く見せる旨の表現

であるならば、「美白」効果を表現することは可能とされています。
このメーキャップ効果で美白効果を表現する場合には、メーキャップ効果であることが明確にするように注意しましょう。
 具体例としては次のような表現となります。

  1. ・塗ればお肌がほんのり白く見える美白ファンデーションです
  2. ・シミ、ソバカスをきれいに隠し、お肌を白くみせてくれます
  3. ・お肌のシミを見えにくくする

1-2 薬用化粧品の美白表現

 薬用化粧品の場合、承認された範囲内であれば、通常の化粧品よりも表現できる効能効果の範囲は広くなります。ただ、「美白」効果自体は、薬用化粧品であっても、薬機法による承認を受けることができる効能効果とは考えられていません。このため、薬用化粧品で認められている効能効果の表現を用いて、「美白」を表現していく必要があります。
 日本化粧品工業連合会が発表している「化粧品等適正広告ガイドライン」によれば、次の場合には美白効果を表現できるとしています。

①承認を受けた効能効果に対応する「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」等の表現

 薬用化粧品といえどもこれまでにできてしまったしみを消す表現は認められていません。このため、これからのしみ・そばかすを防ぐ表現の中で、「美白」効果を謳っていくことになります。
なお、「美白」の表現自体は、次のように、承認を受けた効能効果(例えば、「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」)を明示した「説明表現」を併記すれば認められます。

「美白* 」 「*メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」

②メーキャップ効果により肌を白くみせる効果に基づく表現

 薬用化粧品の場合であっても、一般化粧品と同様にメーキャップ効果を謳うことはできますので、一般化粧品と同じようにメーキャップ効果により肌を白くみせる効果に基づく表現も可能です。

2 認められない表現の範囲

 このように、化粧品広告における、「美白」効果の表現は、かなり厳しいルールとなっていますので、次のような表現は薬機法違反となってしまいます。「化粧品等適正広告ガイドライン」では、次のような表現が、認められない表現としてあげられています。

①肌本来の色そのものが変化する旨の表現

  1. ・黒い肌も徐々に白くするホワイトニング効果
  2. ・使えば使うほど肌が白くなるホワイトニング効果
  3. ・白の加速、最短12日間で、今いちばん会いたい白に。鏡を見るたび白の実感。その美しい白さが持続します。
  4. ・あれ、肌が白くなった? この時から
  5. ・肌白くなった、白さ実感

②できてしまったしみ、そばかすをなくす(治療的)表現

  1. ・できてしまったシミ、ソバカスの美白に
  2. ・ホワイトニング効果でシミ、ソバカス残さない
  3. ・○○代でできた目の下のシミを、○○代でなくすことができるなんて
  4. ・○○年間もあったシミがこんなに薄くなるなんて
  5. ・シミ・ソバカス・クスミ・黒ずみにサヨウナラ

③承認効能以外のしみ、色素沈着等に係わる表現

  1. ・頑固なシミ、老人性斑点を美白
  2. ・ニキビ痕、炎症痕の黒ずみに
  3. ・ニキビ跡の色素沈着を防ぐ
  4. ・ワキの下、ヒジ、ヒザ、乳首やビキニラインのクスミ、黒ずみの美白に
  5. ・下着、ストッキング跡などによるクスミ、黒ずみの美白に

④その他、効能効果の保証、最大級的な表現等の医薬品等適正広告基準に抵触する表現

  1. ・結果がみえる美白
  2. ・結果を感じるホワイトニング
  3. ・早い人なら○週間で白さの実感
  4. ・シミ・クスミが目立たなくなり美白効果を実感
  5. ・シミが消えない…そんな私たちを満足させるホワイトニング
  6. ・美白成分が○倍浸透する美白美容液(当社比)
  7. (当社比であっても、数値を例示して比較することは不適当)

  8. ・美白の概念をくつがえす歴史的美白の誕生です。
  9. ・○○○は、医薬品と同じレベルの試験により、有効性・安全性が明らかにされ・・・。(○○○は有効成分の説明)
  10. ・美白成分として有効性と安全性を明確に実証

⑤メーキャップ効果である旨が明確でなく、誤認を与える表現

 例えば、

  1. ・美白パウダーでシミ、ソバカスが消えてなくなる
  2. など、治療的な効能との誤認を与える場合

  1. ・○○成分は、その美白効果により肌がいつも以上に美しくなります。
  2. など、有効成分により美白になるような表現

があります。

3 まとめ

 このように美白表現が認められる場合は、かなり限定的になります。「美白」は、消費者に対する訴求力が高いワードですので、化粧品広告のルールを理解して、認められた表現の範囲内で「美白」の広告を作成してください。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士茨木 拓矢
美容事業を経営されている事業者様は、薬機法(旧薬事法)や景品表示法規制など経営に絡んだ多くの法的課題を抱えています。これらの問題に対して、経営者目線でお客様とのチームワークを構築しながら、法的問題点を抽出し、最善の解決策を共に見つけ、ご提示致します。

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